湯の川温泉の歴史

北海道の三大温泉郷のひとつに数えられ、
古くから名湯として人々に親しまれた函館湯の川温泉
ここでは多くの人々を癒やしてきた湯の川温泉の歴史をご紹介します

藩主を癒した湯の川温泉

1653年(承応2年)、松前藩主九代・高広(幼名 千勝丸)が難 病にかかり、病は日に日に悪化していき、
ある夜母の清涼 院は「松前城の東にある温泉に行けば、どんな病も治る」と いう夢を見ます。
その温泉に千勝丸を湯治させるとまもなく 全快。藩はお礼に、薬師堂を再建、鰐口を奉納しました。
これが湯の川温泉の発祥といわれています。

藩主を癒した湯の川温泉

湯の川の始まり

湯の川の語源は、アイヌ語の「ユ(湯)+ペツ(川)」からきているというのが定説です。

湯倉神社の起源

1453年(享徳2年)に、ある木こりが湧き湯を見つけ、
負傷時にこの湧き湯を思い出し、腕の痛みを湯治して癒しました。
このお礼に薬師如来を作り、小さな祠を建ててお祀りしたという言い伝えが
湯倉神社の発祥といわれています。

湯倉神社の起源

榎本武揚も温泉につかっていた

箱館戦争時には、旧幕軍の榎本武揚が傷病兵を療養させ、
榎本自身も入湯していたといわれています。
「湯の川 野戦療養所跡」のある、湯の川の隣町「榎本町」は
彼の名 にちなんで名付けられたといわれています。

榎本武揚も温泉につかっていた

函館の奥座敷・湯の川温泉

湯の川の語源は、アイヌ語の「ユ(湯)+ペツ(川)」からきているというのが定説です。
当初の温泉は湯量も少なく、
温度も低かったので広くは知られていませんでしたが、
明治18年に石川藤助が100度以上毎分140リットルの温泉を掘り当て、
明治19年に湯治場を開業以降、入浴客が増え、
それに伴い料理店・宿・商店などが建ち並び、湯の川は賑わい始めます。
明治20年には現在の電車通も開通し、歓楽地として栄えることになりました。

函館の奥座敷・湯の川温泉

その後、明治31年には馬車鉄道が開通。
大正2年には電車に替わり、大正7年には日本初の有料道 路が海岸線に開通し、
湯の川はさらに賑わいを増 します。
現在の函館市民会館のあたりには「湯の川 遊園地」ができ、
動物園や人工滝・竜宮城など、遊 びの場としても有名になりました。

函館の奥座敷・湯の川温泉

湯の川は、当時「湯の川八景」と呼ばれるほどの景勝地として親しまれていました。
特に根崎海岸は360°のパノラマ展望が素晴らしく、
「借景」 として名を馳せました。その後も北洋漁業の隆盛と共に歓楽街として賑わい、
昭和20年頃まで「函館の奥座敷」と呼ばれました。

函館の奥座敷・湯の川温泉

湯の川温泉のいま

現在函館は毎年540万人が訪れ、宿泊客440万人のうち、
130万人程が湯の川温泉に宿泊します。
近隣には北海道で唯一の国指定名勝の香雪園(見晴公園)、
日本で最 初の女子修道院・トラピスチヌ修道院、借景のある根崎海 水浴場、温泉に入るサルがいる
熱帯植物園、松倉川など、 散策や行楽にふさわしい函館観光の拠点となっています。

湯の川温泉のいま

湯の川温泉の泉質

湯の川温泉の湧出量は日量7,000トン(毎分4,861リットル)以上の湯量を誇っており、
そのうち函館市が 所有・管理する源泉が9本、民間所有の源泉が13本の合計22本あります。
湯の川では井戸水を掘ろ うとしても、100mほどの掘削で温泉が出てしまいますので、
雑排水に井戸水を利用したいという試みができない地区でもあります。
湯の川温泉の源泉温度は井戸によって多少の差異はありますが、
平均して65度前後あり、高温の温泉です。
従いまして浴槽清掃の後、お湯を新しく湯船に入れる際は、
適温にするための水を入れることはあります。
また、湯の川温泉はビルタイプの規模の大きなホテルも多くあります。
大浴場や個室の露天風呂が上 階にあるホテルは、
湯の川に限らずポンプで温泉を送り出し戻すことになりますので、
循環という方法を取っていますが、
先に述べましたとおり、湯量が豊富ですので、新しい温泉がどんどん入ってきて、
古 いものを捨てるという「放流・循環併用式」を多く採用しています。
湯の川温泉加盟18施設の温泉形態は、
日本旅行業協会、日本温泉協会、日本旅館協会の表示方法の指針に従い、
下表 のとおり3形態について取りまとめをしましたのでご覧ください
(浴場によって形態を異にしている施設は複数表記となっております)。
350年余の歴史を誇る名湯「湯の川温泉」をより多くのお客様にお楽しみいただけますよう、
私たち20軒は皆様のお越しを心よりお待ちいたしております。

令和2年9月

函館湯の川温泉旅館協同組合 理事長 金道 太朗

  • 放流式

    浴槽に常時新しい温泉を注入して溢流させ、温泉を再び浴槽に戻さない方式。循環ろ過式の対極にあたり、「かけ流し」1または「完全放流式」とも呼ばれる。

  • 循環ろ過式

    浴槽内の温泉を吸い取り口などから吸い取り、汚れなどを除去する目的でシステム中に組み入れたろ過装置を経由し、再び浴槽に温泉を戻して再利用する方式。また、この方式で一連の働きをする装置を循環ろ過装置と呼ぶ。

  • 放流・循環併用式

    浴槽に常時新しい温泉を注入して溢流させながら、浴槽内の温泉を吸い取り口などから吸い取り、ろ過装置を経由して再び浴槽に温泉を戻して再利用する方式。